地熱情報研究所

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 2023年5月9日(火)11:00~13:00 オーストラリア放送協会(ABC)
東京支局の東京支局長(北東アジア特派員)およびプロデューサ―の取材を受けた。日本の地熱発電の現状・課題・将来に関するインタビューを受けるとともに、特に温泉事業者との関係に興味を持っていたようだ。 今後、熊本県の湧蓋地区および草津温泉にも取材する予定だという。外国人には、温泉と地熱開発に特に興味があるようだ。
 2023年4月26日(水)13:30~17:00 地熱技術株式会社主催の「地熱研究会」2022年度第3回地熱研究会(会場・オンライン開催)にオンライン参加した(双方で、参加者数は100名という)。3件の発表があり、いずれも、JOGMWC(2件)およびNEDO委託(1件)による3研究開発事業の報告であった。①は(株)地下研の青木氏発表の「DASを用いた開口性断裂探査手法の開発」(JOGMECの委託事業)によるもので、特に高温だが難透水性の地層には有効だろう。深部井戸で高温だが難透水性の場合、広範に熱伝導的構造があるとは考えにくい。すなわち、近くに高温地層の原因である高温熱水の断裂が存在するが見つけ切っていない場合が少なくないと思われる。このような高温空井戸に、この手法を適用すれば、近くにある高温の透水性断層を発見するのが容易になるだろう。この手法の適用経費が5000万円程度ということなので、新たに井戸を掘るより、かなり経済的になるということだ。②はINPEX Group(IDC)の齋藤氏による「水中不分離セメントによる逸泥対策」(JOGMEC委託事業)。掘削に伴う効果的な逸泥対策への使用を目的としたものだ。が、まだ未完成だが(⇒適用事例が少ない)、なかなか面白い開発研究と思われた。このような手法が実現すれば坑井掘削期間が大幅に短縮される可能性が高く、早く実用段階に入ってほしいものである。③は電中研の中尾氏による「IOT-AI適用による小規模スマート発電&熱供給システムの研究開発」(NEDO委託事業)。元々小規模発電の設備利用率向上を目指したものであるが、大規模地熱発電さらにバイオマス発電を含む他の発電・熱利用システム一般に適用可能な技術のようだ。故障(異常)の事前検出も可能であり、広範にわたって応用可能であり、特に、将来の設備利用率の向上にに大いに貢献するであろう。実のところ、設備利用率は小規模地熱では確かに低いが、大型地熱発電所でも近年低下が続き60%以下になっている。この手法の適用により、設備利用率を上げることができるだろう。持続可能な地熱発電の実現に、大きく貢献できるのではないか。
 
 2023年4月21日(金)10:00~12:30   英 The Economist  の日本駐在員(ニュース・アシスタント)から、日本の地熱発電(現状・課題・将来)に関するインタービューを受けた。
2023年4月19日(水)14:30~16:30 日本地熱協会主催 令和5年度 第1回情報連絡会(オンラインと会場対面のハイブリッド方式)にオンライン参加した(最高時120名の参加)。プログラムは3部からなり、(1)部は令和4年度JOGMEC地熱発電の資源量調査事業費補助金交付事業の紹介として6件の紹介があった。(2)部は新入会員自社紹介 1件。(3)部は運営委員会及び専門部会報告であった。まず(1)部であるが、各案件のポイントを記す。①「菰ノ森」及び「安比川上流」 受注企業は三菱マテリアル(株)。 いずれも250℃を超える蒸気が確認されている。「安比川上流」は現在発電所建設中の「安比発電所」の近くで、今回の両地域とも有望とみられる。②「妙高山東麓」 受注企業は(株)大林組。 200℃以上の坑井が確認されており、自然公園内であり、優良事例を目指している。③「恵山」。受注企業は(株)レノバ。 すでに還元井2本も用意され7~8MWの中規模発電を目指している。④「宮城県栗駒」。受注企業は SBエナジー(株)。すでに1号井(230℃以上)が掘削されており、地元協議会も前向きで、開発有望地である。⑤「ニセコ」受注企業は三井石油開発(株)。開発開始後8年目 すでに5本の坑井掘削が行われ、自噴確認また還元井2本も準備中。微小地震モニタリング継続中。公園内であるが是非早期の運開を期待したい。⑥「涌蓋山東部」「山下池南部」「泉水山北部」受注企業は九州電力(株)。地熱発電の雄「九州電力」の実力発揮を期待したい。透水性の良い200℃以上を超える井戸(複数)も確認されている。いずれも対象地は「社有地」であり、開発には好都合とみられる。 第(2)部では新入会員としてNZの政府系研究開発企業(東京センター)の紹介が行われた。NZは地熱発電先進国で技術の信頼性が高いし、日本の地熱関係者とは公私の交流の多い友好国であり、日本国内の地熱開発への支援を期待したい。第(3部)は運営委員会及び専門部会で協会から発表された。政策要望では今年は「地熱法の制定」が上位になったようである。「地熱法の制定」は日本の地熱開発長年の悲願であり、関係省庁には特に強力に働きかけてほしい。これができないと、次世代の地熱業界にも同様の苦難が続くことになる。
 2023年4月13日14:00~16:30 公益財団法人「自然エネルギー財団」・一般社団法人「北海道再生可能エネルギー振興機構」・
NPO法人「北海道グリ-ンファンド」主催(共催)のフォーラム「自然エネルギーと北海道・日本の未来」(現地会場:札幌市民交流プラザ)にオンライン参加した。「北海道」および「洋上風力」が中心的テーマであったが、再生可能エネルギー開発一般に通用する有用な議論もあり、地熱発電の進め方にも有用であった。
 2023年4月12日 JCIメッセージ:再生可能エネルギーとカーボンプライシングで二つの危機を打開する が公開された。当研究所も303団体の一つとして、メッセージに賛同した。「地熱情報研究所」名がメッセージ賛同団体一覧に記載された。
 2023年3月24日 JCI賛同フォーム を NPO地熱情報研究所としてJCIへ送付した。
 2023年3月8日10:00~17:45 自然エネルギー財団主催の「REvision20230308」にオンライン参加した(現地会場もあり)。主テーマは「エネルギー危機を自然エネルギーが克服する」。セッションは4つあり、セッション1では、「太陽光発電・風力発電でエネルギー危機に挑む最新の取り組み」、セッション2では「RE100の次に企業に求められる”スチールゼロ”を初めて紹介」、セッション3では「アジアにおける脱炭素化への道を問う」、セッション4では「日本での洋上風力発電加速の鍵を明らかに」。 全般的な印象をまず記す。議論されるのは量的拡大が進み、変動性の問題も大きく改善されてきた、太陽光発電・風力発電がメインとなるのはやむを得ないが、何人かの理解ある報告者は「地熱発電」にも触れており、地熱発電が忘れられないためには、さらに、一定程度の「量」を確保しなければならない。地熱事業者の一層の尽力を期待したい。このセッション1では、ロシア侵攻が、エネルギー危機を起こしたネガティブな事態に触れるとともに、世界(主に、欧州や米国)でREの拡大が続き、引き続き投資が拡大されていることが紹介された。IRENA事務局長やエイモリー・ロビンス氏などが、世界の動向を紹介した。ロシアの欧州への天然ガスの供給削減にもかかわらずドイツなどを中心に脱炭素の動きが展開されたこと。このような中、残念ながら、日本では明らかに世界の動向に背を向けていることが指摘された。 セッション2では、炭素を放出する企業では、新しい転換が見られ、世界のビジネスでは、電力だけでなく、熱利用や燃料の脱炭素化、特に鉄鋼やアルミニウム、セメントでの新しい素材の脱炭素化が注目された。日本でも主要産業である鉄鋼、アルミニウム、セメントで電力消費が多いが、まだまだ改良の余地はあろう。これらの業界が世界と伍してやっていくためには、脱炭素化は避けて通れない。 セッション3ではアジアには自然エネルギー賦存量が豊富であることが改めて認識され、隣国間での協調開発や日本の進出も期待されているようだ。ただ、日本の消極的政策下では、アジアに石炭火力を残してしまう懸念も指摘された。 セッション4では、日本の洋上風力(主に浮体型)が議論された。世界の後塵を許していた日本でも洋上風力が始まった。欧米各国も歓迎するとともに、国際的な競争の中で、世界の風力発電を進めていく姿勢が感じられた。わが国は小国ではあるが、EEZは広く、この中での拡大が期待されると欧米は見ているようだ。 以上、各セッションの概要を示したが、日本は、いずれにおいても規模的にはまだ十分な貢献をしていないが、世界と協力して(特にアジア地域のリーダーとして)、REによる脱炭素化の拡大への貢献を期待されており、特にことしは、G7開催国として、世界をリードすることを、アジア諸国だけではなく、欧米からも期待されているようだった。ただ、世界は我が国の消極性に懸念があるようだ。最後に、わが国の地熱発電から世界の脱炭素化を目指す上で、少しでも貢献するために、新しい発電所の建設が進むことが必須であり、事業者の引き続く尽力を期待したい。
 2023年2月18日、当研究所で継続観測中の1m深地温であるが、1月中は地温は下がり続け、2月1日に今季最低地温9.3℃を記録した後、春に向かって上昇を続けていたが(1日9.3℃、2日9.3℃、3日9.4℃、4日9.4℃、5日9.5℃、6日9.5℃、7日9.6℃、8日9.7℃、9日9.9℃、10日10.0℃、11日10.0℃)、11日以降一時的に低下した後(11日10.0℃、12日9.8℃、13日9.8℃、14日9.8℃)、15日に上昇したが、16日以降再び下降に転じている(15日9.9℃、16日9.8℃、17日9.7℃、18日9.6℃)。冬~春の気候は基本的には、地温も、気温でよく言われるように三寒四温的に、上昇・下降を繰り返していくものか。
 2023年2月15日14:30~16:30 日本地熱協会令和4年度第6回情報連絡会にオンライン参加した(参加者は会場・オンラインを含め100名超)。講演は以下の3件(地熱技術研究開発の取り組み と題して)があった。①NEDOによる地熱発電研究開発の取り組み(NEDO新エネルギー部 熱利用グループ 主査 大竹正巳氏)②産総研地熱チームでの研究開発の現状(AIST 福島再生可能エネルギー研究所再生可能エネルギー研究センター 副研究センター長 浅沼 宏氏)③新生JOGMEC地熱部門の活動概要(JOGMEC再生可能エネルギー事業本部 地熱事業部 企画課長 荒井智裕氏)。なお、当研究所代表江原幸雄が②の講演に関して、Q1:超臨界貯留層研究の進展によって、超臨界地熱貯留層の生成が、かなり一般的か、またはかなり特別な生成環境が必要か? Q2:超臨界貯留層の研究開発は工学的にも重要であるとともに、基礎科学の進展にも大きな貢献が期待されるので、頑張って研究を進めてほしい旨のコメントを行った。
 
その後、地熱協会の運営委員会及び専門部会報告があった。
 
 2023年2月5日 寒さが続くが、当研究所が継続的に行っている1m深地温は、やや上昇に転じた(最寒期を記録した)かもしれない。1月末以降の地温の変化は以下のとおりである。1月26日10.1℃、27日9.9℃、28日9.7℃、29日9.6℃、30日9.5℃、31日9.4℃、2月1日9.3℃、2日9.3℃、3日9.4℃、4日9.4℃、そして本日5日9.5℃。地温が上昇したと判断するには1週間程度必要であろう。
 2023年1月27日 当研究所で継続観測中の1m深地温であるが今季初めて10℃を切り9.9℃となった。測定時の気温は―0.5℃。最低気温は―6℃程度か。本日1月27日が年最低地温になるかもしれない。しばらくは注目しながら観測しよう。
 2023年1月25日、当研究所(埼玉県狭山市)で継続観測中の1m深地温は今季最低の10.2℃を記録した。この11年間の1月25日の1m深地温は、8.89℃(2013年)、9.35℃(2014年)、9.17℃(2015年)、9.61℃(2016年)、9.05℃(2017年)、8.83℃(2018年)、10.38℃(2019年)、10.58℃(2020年)、10.28℃(2021年)、8.9℃(2022年)、そして本年2023年10.2℃である。過去10年間の平均地温は9.50℃で、どちらかといえばこの10年間では暖かい方である。気象庁によると、現在、日本列島は10年に一度の強い寒波に見舞われており、日本海側を中心に大雪、強風が昨夜から続いている。地温観測中の庭の小皿の水も2~3ミリ程度凍ったようだ。ここ10日間では、一番厚かったようだ。ちなみに5㎝深地温は1.0℃、前日の予想最低気温は―2~-3℃であったが実際には―4℃であったようだ。今季一番寒かったようだ。大寒の最中である。明日以降も地温が下がるか?
 『ENAA  2022年1月16日(月)15:30~17:00 2022年度 地熱発電。熱水活用研究会 第5回』にオンライン参加した。講演は二つあり、一つ目は『経済産業省の地熱発電研究開発の取り組み』(経産省エネ庁 資源・燃料部政策課 係長 金沢 浩紀 氏)、二つ目は『岩手県の地熱発電を中心にした再生可能進展の取り組み』。両方とも、迫力のある内容ではなく、事実を淡々と説明するのに過ぎなかった。もっと焦点を絞った話し方をしない限り、聴衆を納得させることはできないだろう。特に金沢氏の講演にはがっかりした。環境省にも汗をかいてもらわなければ、日本の地熱発電は進まないと苦言を呈しておいた。また、是非とも日本の地熱発電を推進したいとの意欲が感じられなかった。残念なことであった。
 当研究所(埼玉県狭山市)で継続観測中の1m深地温であるが、2023年に入って低下モードにあったが、本日は一転して上昇した。ここ数日の好天で太陽放射がやや増加したことによる可能性が高い。1m深地温は、2022年12月31日10.8℃、2023年1月1日10.8℃、2日10.7℃、3日10.6℃、4日10.5℃、5日10.5℃、6日1.4℃、7日10.3℃、8日10.3℃、9日10.2℃、そして本日10日10.3℃と上昇に転じた。⇒冬来りなば春遠からず。なお、二十四節季はまだしばらく小寒が続き、その後、1月下旬には大寒が控えている。
 2022年12月21日(水)14:30~17:00 日本地熱協会 令和4年度第5回情報連絡会 オンラインに参加した。会員情報として2件あった。1件目は、地熱発電所での発電電力量維持のための技術提案(副題)実運用から見た性能管理手法と冷却塔温度分布の監視):西日本技術(株)地熱部部長 川副聖規氏、2件目は、地熱発電必携の改定について 一般社団火力原子力発電技術協会 地熱発電必携改訂部会 部会長 當舎利行氏。続いて、部会報告があり、系統部会長から佐藤系統部会長から系統部会長報告があった。系統問題もだいぶ煮詰まってきたが、まだ再生エネルギー発電について十分考慮されたものになっていない。
本日2022年12月6日(火)12:50~13:00 NHK教育テレビ番組『視点・論点』で当研究所代表の江原幸雄が「日本の地熱発電の現状・課題・将来」を紹介します。なお再放送は翌日12月7日(水)朝4時~4時10分 NHK総合テレビです。どうぞご視聴ください。
 2022年12月1日 当研究所代表江原幸雄がNHKテレビ番組『視点・論点』で、「日本の地熱発電の現状・課題・将来」について説明することの発信を始めました。放映の日時は12月6日(火) NHK教育テレビ 12時50分~13時。再放送は12月7日(水)NHK総合テレビ 朝4時~4時10分 です。時間が都合つくはどうぞ視聴下さい。
 2022年11月28日(月)17:00~20:00 京都大学再生可能エネルギー講座主催の第6回再エネ講座公開研究会(西野寿章教授退職記念講演会)にオンライン参加した。西野氏は高崎経済諾教授で講演題目は「再生可能エネルギーの地域的浸透を考える~市場経済化における社会資本整備の方向性の検討」。地理学のうち、日本の山村における、明治以降大戦中・後における小水力発電発展過程から、現代の再エネ特に水力発電推進状状況を経済地理学的に論じた。現在とは国家構造・社会構造が異なるが、当時において、官民一体の分散エネルギーシステムが構築されており、地域が主体となって地域エネルギーを進めていた当時の事象は、そのままでは現在に適用できないが、学ぶべき点も多かった。グローバル化・新自由主義の中で、地域のエネルギー自治は翻弄されつつあるが、エネルギー自治の確立を目指すことは、自治体の主体的発展を目指す中で重要であると認識した。西野氏の講演後、2人のコメンテイターによる評価と質問が行われ、西野氏による応答があった。中身の濃い3時間であった。
 2022年11月17日 15:00~17:00 日本地熱協会の技術部主催の「技術交流会」にオンライン参加した。テーマは地熱地質調査と生産井掘削ターゲット、講師は佐藤 浩氏。突き詰めると、優秀な亀裂の検出(掘削)の話である。ただ、応力場(亀裂生成の場)の経時的問題、空間的問題の分離も必要で、確実に当てることおよびその生成解釈ともなかなか難しいようだ。結局経験がものをいうか。しかし、そこでは立ち止まれない。地熱の永遠の課題か。
2022年11月14日13:00~15:00 NHK TV 番組「視点・論点」で「日本の地熱発電の現状・課題・将来」の収録をおこなった。1回でOK。放映は12月上旬の予定。10分の番組で、9分30秒にまとめるのにやや苦労した。
 2022年11月4日、当研究所では所内(埼玉県狭山市)で1m深地温の継続観測を2012年5月8日以来、行っている。現在、冬に向かって低下モードに入っていたが(⇒地温低下率-0.3℃/日程度)、ここ数日の好天により、日射量が増加し、地温低下率が―0.1℃/日程度になり、ついに今日4日は前日と同じだった。地中から出ていく熱流量と、地中に入ってくる熱流量とがバランスしてきたということだ。この間の地温変化は、10月26日18.8℃、27日18.5℃、28日18.2℃、29日17.9℃、30日17.8℃、31日17.7℃、11月1日17.5℃、2日17.4℃、3日17.3℃と低下、そして本日4日は前日と同じ17.3℃であった。
 2022年10月20日 成山堂書店から「地熱エネルギーの疑問50」が発刊されました。日本地熱学会編です。四六版280ページ。1980円(税込み)
。小生(当研究所代表江原幸雄)も3項目1トピックスの分担をしています。地熱に疑問をお持ちの方はどうぞご覧ください。
2022年10月19日 14:30~16:30 日本地熱協会2022年度第4回情報連絡会にオンライン参加した。環境省、林野庁、資源エネルギー庁から、毎年行われる年次報告(のようなもの)が行われたが、地熱発電推進官庁のエネ庁の報告はともかく、規制官庁の環境省・林野庁は積極性に全く欠ける。地熱を含む再生可能性エネルギー開発利用の促進は国全体の目標であることが規制官庁は認識できていない。旧態依然である。問題解決のためには地熱開発側の積極的行動が必要ではないか。
 2022年10月14日14:00~18:00 NGO気候変動イニシアチブ(JCI)主催の「気候変動アクション日本サミット2022」にオンライン参加した。参加者は、会場(虎ノ門ヒルズフォーラム)では300名程度、オンラインでは1600名程度と推定されるので、サミット参加者は2000人程度ということになる。主なプログラムを以下に紹介する。まず、特別講演「気候変動が及ぼす海の生き物への影響」(さかなクン、東京海洋大学 客員教授/WWFジャパン親善大使・顧問)があった。さかなクンは話術も巧みで、日本近海及び世界の海で、海水温の上昇による、魚の生息域の変化、生息数の変化をカラースライドを使って見事に示していた。その後、パネルディスカッション「気候変動アクション最前線2022」が行われた。セッション1は「脱炭素に向けた情報開示」、セッション2は「建築物の脱炭素化」、セッション3は「交通・輸送分野の脱炭素化」、以上では、モデレーターのほか3~6人程度のパネリストが分野ごとの詳細な取り組みを紹介した。いずれも先進的な企業あるいは自治体の代表者がそれぞれの分野での脱炭素化の実情を紹介したものである。先進的企業・自治体の貴重な経験を日本全体に広げなければ、日本全体としての脱炭素化は難しいだろう。それがあって、初めて世界の脱炭素化に貢献することができる。その後、トップリーダーセッションが行われ、各界のトップリーダーが日本の脱炭素化の現状・課題を議論し、地域からの確実な脱炭素化を基盤とした、日本全体の確実な脱炭素化の展望を語った。最後に閉会あいさつとして気候変動イニシアチブ代表の 末吉 竹二郎氏が印象的なコメントを行った。日本政府の脱炭素化政策が「戦略・ビジョンがなく、場当たり的なこと、さらに、エネルギー危機のなかで、日本政府が原発に回帰しつつあること」への痛烈な批判が行われた。さらに再生可能エネルギー発電を増加することしか脱炭素化が実現されないことも指摘した。⇒今回は個々の再生可能エネルギー発電の議論というより全体的な議論が中心で、地熱発電も触れられたに過ぎなかったが、その重要性は認識されており、我々地熱関係者は新規発電所を確実に増加させ、地熱発電の特徴を生かしながら全体への寄与を考えていくべきであろう。
 2022年10月11日、当研究所(埼玉県狭山市)で継続観測中の1m深地温であるが、現在、冬季に向かう低下モードに入っているが10月に入って、7日以降急激に低下しており、以下のようになっている。10月1日22.8℃、2日22.7℃、3日22.8℃、4日22.8℃、5日22.7℃、6日22.7℃、7日22.5℃、8日21.9℃、9日21.3℃、10日20.9℃、11日20.6℃。日毎の地温増減量は、10月6日までは±0.1℃であったが、7日以降の地温増減量は―0.2~0.6℃と急激な低下となっている。日射量が低下する中で、熱が地中へ吸収されるより、地表から大気中へ放出される熱が大きいことを示している。
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